農業だけでなく、様々な業界において、しっかり利益を得るために最も重要なものは、隙のない事業計画であるといえるでしょう。
無計画で何の方針もなしに野菜を育てることは、危険であると言わざるを得ません。
今回は農業で腰を据えて生活していくために、しっかりと儲けられるような事業計画構築ノウハウをお伝えしたいと思います。
もくじ
売上高を計算しよう
まず、農業のみで生計を立てるとした際の農家の売上高は、「収穫量×平均単価」で求めることができます。
売上高を上げるということは、根本的には、この2つの項目をどれだけ突き詰めていくか、という非常にシンプルな構造をしているのです。
収穫量
収穫量に関しては、設備投資を行なったり、農家の技術を向上させたりすることで、地道に上げていく項目です。
まず、現在の見込み収穫量を計算し、目標を定め、そこに向けて努力していきましょう。
短期間で収穫量を増大させることは、潤沢な資源や環境がない限り難しいので、長期目標を立てる感覚で問題ありません。
平均単価
平均単価に関しては、系統出荷と系統外出荷のどちらの手段を用いるかにより、大きく考え方が変わってきます。
系統出荷とは農協へ出荷することを指し、この場合は先ほどの計算式で求めることができます。
一方、系統外出荷とは農協に頼らない出荷のことを指し、この場合は販路開拓や営業が必要となります。
系統外出荷の場合、売上高は「購入された物量×平均単価」で求めることができます。
系統外出荷を突き詰める
農業でがっつり稼ぐためには、系統外出荷の仕組みを確立させる必要があります。
外部から単価を設定される系統出荷では、平均単価を一定以上の値にもっていくことは現実的ではありません。
一方で、系統外出荷の場合はご自身で価格設定をすることが可能で、確実に購入される仕組みさえ整えば、系統出荷と比較にならないような利益を得ることができるのです。
しかしながら、販路開拓も営業も0から始めるとなると、なかなか一筋縄ではいかないでしょう。
それでは、系統外出荷で仕組みづくりをするためにはどうすれば良いのでしょうか?
以下に販路拡大と営業戦略を立てる上でのコツをお伝えしていきたいと思います。
付加価値をつける
普通にスーパーに売ってるような一般的な野菜を、わざわざ高い値段で買う人はいません。
お客様に「スーパーの野菜より、絶対にこっちの野菜の方が良い!」と言ってもらえるような差別化をしなければ、高単価で販売することは難しいでしょう。
それは、単純に上質な味であったり、自然栽培であったり、本来市場に出回らないシーズンでの販売であったり、広い視野をもって考えるべきことです。
そして、付加価値をつける上で最も重要なのが、販売する地域の野菜の需要を調査することです。
例えば、その地域で冬にイチゴの流通が多いにもかかわらず、冬でのイチゴ販売を積極的に行っても、お客様には刺さりにくいでしょう。
しっかり地域の特性を理解したうえで差別化計画を行いましょう。
定期購入をしてくれる取引先の販路開拓
もちろん、一般のお客様に喜んでもらえるような販売経路を増やすことも重要ですが、飲食店などと提携する方が営業効率は高くなります。
例えば、定期的に購入していただけるような契約を交わすことができれば、安定的な収益を保証することができます。
しかし、契約で交わされた物量は確実に出荷し続けなければならないので、それだけの収穫量が保証できるような収穫体制を常に確立しておく必要があります。
営業経費の削減
どのような営業方法をとるかによっても変わってきますが、営業経費はなるべく抑えるようにしましょう。
売上が大きくなったとしても、経費がかかりすぎては本末転倒です。
「出費を下げること=利益を得ること」という認識をしっかりと持ちましょう。
もちろん、営業以外の固定費なども、可能ならばどんどん削減していきましょう。
ブランド戦略
ブランド戦略も重要になってきます。
例えば、サラダとして売るといった具合に売り方の工夫をしてみたり、パッケージデザインをオリジナリティ溢れるものに作り替えたり、付加価値を積極的にPRすることで、商品の認知を高めることができます。
覚えられやすく、分かりやすい名前や文言なども考えてみるのも良いでしょう。
儲かりやすい野菜
農林水産省の農業統計によると、キャベツ・レタス・トマト(大玉)・里芋・にんじん・きゅうりなどが労働時間に対する売上率が高いようです。
例えば、1,000平方メートルあたりのキャベツの所得は18万円ですが、労働時間は90時間なので、時給2,000円に相当します。
レタスは同様の計算で時給1,730円、トマト(大玉)は時給1,270円という値となります。
もちろん先ほどお伝えした通り、販売する地域の特性も大きく関わってきますので、あくまで参考として捉えていただけたらと思います。
まとめ
今回はしっかりと農家で稼ぐための方法についてお伝えしました。
特に系統外出荷について深堀りしてきましたが、系統出荷でもシーズン外に出荷する野菜は平均単価を上げることができるので、十分に生計を立てていくことができるでしょう。
リスクも多いので、あくまで系統出荷の次のステップとして、系統外農業にチャレンジしていただけたらと思います。