時代の流れというのは早いもので、遅れていると言われている農業においても、少しずつ最先端技術が導入されてきています。
今日ではドローンでの農薬散布まで行われるようになりました。
ただし、農薬に関する事故は増加しており、今回は最新の統計から農薬の事故について見ていきましょう。
もくじ
前年度から約20%の事故増
この度、5月29日に農林水産省と厚生労働省が「平成30年度に発生した農薬の使用に伴う人に対する事故」に関する統計(集計期間:平成30年4月~平成31年3月)を公開しました。
この統計をみてみると、前年度の21件に対し25件と、前年度と比較して約20%も事故や被害が増えていることが分かります。
農薬事故・被害の定義
こちらの統計は、農薬の使用に伴う事故及び被害の効果的な再発防止策の策定を目的に毎年度実施されています。
農林水産省と厚生労働省が連携し、期間内に発生した農薬による人の中毒事故や、農作物・家畜等の被害を対象とし、全都道府県に情報提供を求めています。
農薬被害の例
25件のうち、原因別で見ていきたいと思います。
まずは農薬による人の中毒事故から見ていきましょう。
これらは、計13件報告され、内容としては「農薬の調製又は散布時にマスクやメガネなどの防護装備が不十分だった事例」・「土壌くん蒸剤を使用した時に、被覆をしなかった又は何らかの理由で漏洩した事例」・「農薬の保管管理が不適切であったため、誤飲した事例」などが挙げられました。
一方で農作物や魚類の被害は計12件あり、「農薬の飛散防止対策が不十分だった事例」および、「余った農薬希釈液を用水路に廃棄した事例」が報告されました。
今年度は、こういった防護対策の甘さが原因となっているものが多く見受けられる結果となりました。
農薬事故における対策
これに対し農林水産省では以下のように、これらの事故及び被害を防止するための対策を提示しています。
- まず、農薬の調製又は散布を行うときは、用マスク、保護メガネ等の防護装備を適切に着用すること。
- 土壌くん蒸剤を使用した際は、適正な厚さの資材を用いて被覆を完全に行うこと。
- 農薬やその希釈液・残渣等をペットボトル・ガラス瓶等の飲料品の空容器等に移し替えない。また飲食物と間違えて誤飲誤食することがないよう飲食物と分け、農薬保管庫の中に施錠して保管すること。
- 農薬が飛散しないよう風向等に注意し、強風時の散布は控え、飛散が少ないと考えられる剤型を選択したり、飛散低減ノズルを使用するなど、飛散防止対策を十分に行うこと。
- 使用残農薬や不要になった農薬は、廃棄物処理業者に処理を依頼するなど適正に処理する。
農薬に触れるような立場の方は、今一度農薬が猛毒であると言うことを再認識しましょう。
そして、必ずこれらの対策を行い、適切な使用法を心がけましょう。
まとめ
今回は今年度の統計をもとに、農薬事故・被害に関してお伝えしました。
農業における業務の効率化が進み、便利になった今だからこそ、今まで以上の細心の注意が必要になってくるのではないでしょうか?