種苗法改正案不成立!農家の負担を考慮した結果へ

 
MEMO
 この記事は約5分でお読みいただけます。

 皆様は種苗法(しゅびょうほう)という法律はご存知でしょうか?

 この度、種苗法改正案は国会での成立が見送られ、次の秋の臨時国会に持ち越されました。

 今回は、先日行われた種苗法改正案を題材にしながら、種苗法について見ていきたいと思います。

種苗法とは

 まず、種苗法とは一体どういった法律なのでしょうか?

 種苗法の根幹は「野菜の苗木や種における特許に関する制度といって差し支えないでしょう。

 しかし、この制度に関して懸念すべき点があり、今回のようにたびたび改正案があがるのです。

種苗法にまつわる問題とは

 ここでは、種苗法を「特許」という単語に置き換えて考えていきましょう。

 特許にまつわる問題といえば、不正利用海賊版が出回ることがまず思い浮かぶと思います。

 まさにこれが種苗法にとっても問題視されており、例えば国産ブランドであるイチゴのあまおうや、ブドウのシャインマスカットなどの苗木が韓国や中国などで不正流出しているのです。

 さらには既存のものよりも安価で販売されたり、他国へ大量に輸出されたりと、農家だけでなく日本政府にとっても大きな問題となっているのです。

 種苗法は登録品種の開発者に原則25年の「育成者権」を認めており、栽培には開発者の許可が必要なのですが、海外に苗木を持ち込まれて現地で栽培されてしまっては止めようがなく、海賊版が黙認されている状態が今の日本の実情なのです。

今回の種苗法改正案

 こういった背景から、改正案では開発者が登録申請時に栽培地域を特定の県に限定したり、日本国内に限定したりすることができる規定を新設するといった内容となっています。

 また、こうした利用条件に違反して種苗を海外に持ち出せば、育成者権の侵害になり罰則規定も設けるといった、海賊版防止の目的が強い内容となっています。

なぜ法改正が見送られたのか?

 ここまでみると、ただただ有利な改正案に思えますが、なぜ種苗法の改正案が見送られたのでしょうか?

 実はこの案には大きな落とし穴があり、成立すれば特定の品種において、日本の農家による自家増殖までもが自由にできなくなり農家の負担が重くなってしまうのです。

 この自家増殖という言葉は、農家が収穫した農作物から種を取ったり、株分けしたりして翌年の栽培に向けた種苗にすることを指します。

 例えば、25年の育成者権が切れたり、もともと品種登録されていなかったりする一般品種はこれまで通り自由にできますが、改正案は登録品種の生産について、開発者の許可(種や苗を高額で購入する)を取る必要があるとしているのです。

各方面からの意見

 これに関して、農林水産省は「国内での種苗の流れが管理でき、第三者に渡るリスクを低減できる上、地域の伝統的な品種を含む一般品種は対象外で流通品種の大半を占めるのでご理解いただきたい」と、一部の農家を無視するような発言をしています。

 一方で、農家や消費者からは一部の生産者が種や苗を毎回購入しなければならなくなることへの反発が非常に多く、国際的に認知された農業者の自家増殖を認める権利を著しく制限されるため、改正案からの削除を求めいます

 また各専門家は、逆に海外の資金力のある企業が種苗を独占する手段として悪用する恐れもあると指摘しています。

 これらの反対意見が尊重されたことから、今回の種苗法改正案は見送られました。

まとめ

 
 今回は、改正案をもとに種苗法について詳しく見てきました。
 

きゃろさん

確かに特定作物の生産者からしてみれば、改正案の成立はたまったものではありません
 
 また、この種苗法改正案に際しまして、女優の柴咲コウさんがツイッターで法改正反対のメッセージを発信したことで、日ごろ農業に関心の薄い方々も注目しているとのことで、署名運動に発展するほどに反対の声が高まったそうです。

 これを機に、老若男女問わず多くの層が農業に関心をもち、農業に関する法律や制度を率先して議論できるような世の中になっていけば良いなと思う今日この頃です。