前回は、野菜が健康に育つ良い土づくりの知識として、砂や粘土等の固形物(固相)・空気(気相)・水分(液相)のバランスについてお話しました。
湿っていて水はけが悪くても、乾いていて水はけが良すぎても良くありません。
土がフカフカでやわらかく、しっとりしており、水持ちと水はけが良い、理想の状態である「団粒構造」の土とは何か?を解説していきます。
もくじ
団粒構造(だんりゅうこうぞう)
団粒構造の土の特徴は、やわらかくてしっとりと湿っていて、よく見ると土がコロコロした大小のダンゴ状の粒になっています。
図解すると以下のようになります。
図の解説をすると、まず基本となる土壌粒子は砂や泥などの粒のことで、団粒(だんりゅう)はその粒の集合体です。
土壌粒子の表面につく吸着水や、団粒の隙間を抜けていく重力水は、ほとんど利用されない水分なのですが、団粒内に保持される水分である毛管水には、肥料成分がしっかり溶けているだけでなく、根からの吸収効率も良いので、毛管水が効率的に保持される団粒構造が、植物の生長にとって最高の土の状態と言えるでしょう。
前回のおさらいになりますが、実は団粒構造こそ固相40%・気相30%・液相30%の理想のバランスが保たれている状態なのです。
団粒構造の土ができるまで
団粒構造の土は、人が単純に耕すだけでは作ることは出来ません。
土壌微生物が、動植物の遺骸、植物の根が分泌する炭水化物、畑に有機肥料・堆肥を加え耕したもの等の有機物をエサにしており、土を団粒化しています。
粘土、腐植(有機物が土壌微生物によって分解されて出来たもの)、土壌微生物が分泌する粘液が接着剤の役目を果たし、砂粒がダンゴ状になります。
根と土壌微生物の関係
根の性質として、「水分」と同時に、「リン酸・窒素・カリウムを主とした肥料成分」を取り入れることで、たんぱく質や脂質を合成しながら、野菜を生長させる役割を持っています。
ただし、これらの肥料成分は土の中にある岩石や有機物に含まれていますが、水に溶けていない肥料成分は根から吸収することは出来ません。
そこで活躍するのが土壌微生物で、彼らは根の周りにいる有機物を分解して水に肥料成分を溶かす役割、野菜の根と協力して岩石のミネラルを分解して水に肥料成分を溶かす役割を担っています。
よって、野菜は土壌微生物のおかげで肥料成分を吸収できるようになり、根の周りに棲む土壌微生物は野菜の根が分泌する炭水化物をもらって生きているため、野菜と共生関係が存在していると言えるでしょう。
まとめ
今回は団粒構造の土の仕組みと、土により野菜が育つ理由をご紹介しました。
きゃろさん
次回は土壌微生物について見ていきたいと思います。