前回は、団粒構造の土の仕組みと土壌微生物の働きについてご紹介しました。
野菜がよく育つには団粒構造の土が必須となり、それには土壌微生物が存在しないと成り立ちません。
今回はさまざまな土壌微生物について解説していきます。
もくじ
主な土壌微生物
団粒化が進んだ土には多種多様な土壌動物、細菌、カビ等が活動しています。
このような畑では、土壌病害が起こりにくく、野菜の生長が促進されます。
小型土壌動物・中型土壌動物
基本的に小型あるいは中型の土壌動物は、ミミズ(サイズ・種類によっては大型の分類)・トビムシ・ワムシなどの、落ち葉や朽木を食べて分解する数mm~数cmの生物を指します。
大型土壌動物として、それ以上のサイズであるモグラ・ネズミ・ヘビ・大型の甲虫等が同様の役割をしていますが、大規模な農地開拓などを行わない限りは、上記の小型土壌動物・中型土壌動物のほうがお世話になることが多いでしょう。
細菌
細菌とは1㎛ほどの肉眼で観察することが難しい微生物です。
落ち葉やフンなどの有機質だけでなく、ミネラルなどの無機質をもエサにして栄養素を作り出す役割を担っています。
真菌類
真菌類とは、一般的にカビ・キノコ・酵母などで良く知られる菌類です。
彼らは無機質の分解はできませんが有機質の分解能力が高く、よく見ると肉眼でも菌糸が見える種類のものも多いため、土壌動物の次に存在を確認しやすい微生物と言えるでしょう。
放線菌
放線菌とは、落葉などの有機物の分解をしており、堆肥発酵に関与しています。
分岐した菌糸状細胞や、菌糸をつくる細菌群のことを言います。
発生時期は主に冬で、落ち葉の下の寒い場所を好み、竹林など多くの場所で見られます。
ミドリムシ
ミドリムシ(別名ユーグレナ)は、葉緑体を持ち光合成を行う植物の性質と、動き回る動物の性質の両方を併せ持つ珍しい微生物です。
ミドリムシ自体に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸、他にも食物繊維等、全部で59種類もの栄養素がバランスよく含まれています。
春から夏にかけて水田に頻繁に発生します。
最近ではミドリムシを含んだ培養土、液体肥料等も開発され始めています。
藻類
藻類(そうるい)とは、葉緑素を持ち光合成を行う微生物で、コケ植物、種子植物、シダ植物を除いたものの総称です。
淡水や海水の中に存在することが多いが、土壌の中にも存在します。
上記のミドリムシを含むユーグレナ藻も藻類の一種となります。
土壌微生物を増やすために
土壌微生物を増やし土を団粒化するためには、土壌微生物のエサとなる有機物が必要です。
そのために、堆肥や有機質肥料を調達し土に撒き耕します。
また、刈った雑草を畝(うね)や通路に敷いておくのも有効となります。
堆肥と肥料の違いは、堆肥は家畜糞や落ち葉を腐らせ発酵させたものであり、土を植物の生育に適した状態に改善する役割を持っています。
肥料は発酵させず、植物に吸収され、生育に直接影響を与える役割を持っています。
また、肥料で土づくり効果があるのは有機質肥料のみで、化学肥料にはありません。
肥料について詳しくはこちらの記事を参照してください。
まとめ
今回は主な土壌微生物の種類、役割、増やすための方法についてご紹介しました。
きゃろさん
堆肥や有機質肥料をうまく使い、野菜にとって良い土の環境を作りましょう。